UP の解釈

UP についての疑問

・「黙れ!」っていうときの「シャラップ」が "shut up."だって本当?その up はどんな意味??

・"up the current" ってどういう意味?

・Time is up. / Time up. 正しいのはどっち??

・He walked up to the door.  彼はドアの上に歩いた。??

 

 

今回もこんな感じの悩みを解決していきます。

 

 

 

みなさまお疲れ様でございます。ふろみーです。

 

 

今回は up を扱います。「上へでしょ、簡単じゃーん。」という声がありそうですが、そんな簡単じゃありませんよ笑。

 

もちろん、up の本質は「上へ」です。それは正しいです。

 

 

問題は、その意味から派生して生まれた意味がとても多いということです。一番上の疑問のところにも書きましたが、up は、基本となる意味が非常に簡単ゆえに、様々な場面で応用されます。それが難しいのです。

 

 

それでは今回も、イメージ、イメージワードを基にして、up を紐解いていきましょう。

 

 

 

 

1.  基本イメージ

 

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 なんとなくわかりますね。水槽に蛇口から出た水が溜まっていく感じです。ここで大事なのは、up が「位置としての上」を表すわけではなく、「動いて上にいく」ことを表すということです。スピードアップとか、ボリュームアップみたいな感じですね。

 

 

ex.) The price of gasoline will go up from next week. 

       Fireworks lit up the night sky. 

 

 

そんなに難しくありませんね。ガソリンの価格が高い位置にあるというよりは、来週は、今よりも高い位置にガソリンの価格が上にいくだろう、という感覚です。

fireworks は花火、lit は light 輝かせる、の過去形です。花火が夜の空の明るさをあげる、という意味を考えると、up が使われる理由もわかると思います。

 

 

このイメージから、今回は up の意味を3つに分けて紹介します。そのうちの1つはもちろん、上に、という意味になるのですが、様々な場面で用いられるので、後から紹介します。先に、残りの2つの意味を扱いたいと思います。

 

2.  派生イメージ

(1) 近くに 

対象と自分との間にメーターがあって、自分がそのメーターを埋めていくという感じが up のイメージと一致して、この意味が生まれたのだと思います。(たくさん出てくる意味というわけではないんですけどね!)

 

ex.) He walked up to the door. 

 

「上へ」しか知らないととんでもない訳を作ってしまいそうです。

 

ドアの上を歩いた!?

 

 

これは、近くに、の up です。ドアと彼との距離が縮むという感じですね。そのため、ドアの近くに向かって歩いた、という意味になります。 この意味の場合、up だけでは、方向がわからないので、to と一緒に使われることが多いです。

 

 

この意味はそんなにたくさん出てこないので、こんな意味もあるんだなくらいで大丈夫です。

 

(2) 完全に

up に、「完全に、完全な」という意味があるなんて驚きですね。そんなの見たことないし、使ったこともないよ、と思っているそこのアナタ。意外と使っているかもしれませんよ。

 

shut up, clean up, break up,  などなど。意外と、完全、という意味の up は使われているものです。

 

ex.) I used up my pocket money. 

      He drank up the water. 

 

 

動詞に up がくっつくと、「完全に~し尽くす」という意味になることがあります。上の例文なら、使いつくす、飲み干す、という解釈です。

 

もちろん、I used my pocket money./ He drank the water. など、up が無くても文は成立しますが、完全という意味があるかないかでニュアンスが変わってきますね。聞き手が受ける印象も大きく変わってきます。

 

 

ちなみに、shut up は日本語でいうところの、黙れ!の「シャラップ」です。なんで、「シャップ」のになると思いますか?普通に発音したら、「シャタップ」になるはずです。

 

詳しく掘り下げはしませんが、簡単に言うとその方が発音がしやすいからです。まだ余力がある人は覚えておいてください。

 

母音(a,i,u,e,o) に挟まれた"t" は"d"や "r"のような発音になります。

 

let it go が「レットイットゴー」というよりも「レリゴー」に聞こえるやつです。興味がある人は調べてみてください。たくさん出てきますよ。

 

 

 

3.  その他の意味

 ここでは、up の無視できない意味のうち、単純な「上へ」という解釈では不十分なものを扱っていきます。

 

 

・育つ

ex.) I was brought up by my grandparents. 

 

bring up で「育てる」という訳になります。(子ども、孫などを)持っていく、上の方に、という解釈から派生して生まれたと考えられます。

 

 

・(勢い、流れに)逆らう

up の最も難しい意味でしょう。この意味は、上から下への力が働いている環境の中で、上方向への力を働かせる、というように考えるとよいです。上流から下流に水が流れている中で、上流を目指すサケをイメージしても良いでしょう。

 

ex.) A lot of fish tried to swim up a waterfall. 

 

 

この例文を見て思ったのですが、逆らう、という意味を知らなくても訳すことはできそうですね笑。加えて、ネイティブがどのようなことを考えて使い分けをしているのかはわからないのですが、「流れに逆らう」などを英訳するときには、up the current よりも、against the current の方が多いような気がします。確かに、against の方が流れと反対に進む感じが強いですよね。

 

 

 

up の解釈についてはこれだけにしようと思います。もっと深く掘り下げると、「北へ、北の」「起きる」などまだあります。ただ、重要度を考えると書くまでもないかなと思ったので省略します。

 

 

 

・おまけ

元のイメージが単純な up はこのように、様々な意味に派生することがわかりましたね。ではここで、元の意味が単純な単語同士を組み合わせて生まれた熟語を考えていきましょう。それが、、、、"up to" です。

 

 

to も元の意味はめちゃ簡単なので、たくさんの意味に派生します。その to と up が合体したらどのような意味になると思いますか?考えてみましょう。

 

ex.) 

1. up-to-date

2. come up to 

3. It's up to you. 

4. He is up to something.

5. It will take up to 5 days. 

6. What are you up to?

 

 

いくつかイラストにしてみました。

 

1. up-to-date 

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date は日付、という意味がありますが、今日、というニュアンスも持ち合わせています。イラストでは、それに向かって矢印が伸びています。矢印といえば to のイメージですね。では up はどのような意味で作用しているでしょうか。上へ、でも、完全に、でもないですね。この場合は、近づく、になります。矢印が date に近づいていますね。つまりモノが昔よりも、現在に近いから、(機械や設備が)最新の、という意味になります。

 

 

6. What are you up to? 

 

 

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今はスポーツを例に挙げてみましたが、スポーツ以外にも使うことができます。この例なら、何のスポーツの方向に近づいていますか?みたいな感じになります。つまり、What are  you up to? の解釈には、何にハマっていますか?、マイブームは何ですか?のようなものがあるでしょう。

 

 

ほとんどの up to がこの考え方で解釈できるのですが、

He is up to something. だけがちょっと難しいです。普通に考えると、「彼は何かに近づいている。」のような解釈になります。ですがこの表現での something は「何か良くないこと」という意味で使われます。文全体として、「彼は何か良からぬことを企んでいる。」というように訳されます。これは難しいですね。ノンネイティブは文脈で解釈するしかないでしょう。

 

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4.  終わりに

「上へ」とばかり考えていたであろう up を扱いました。いかがでしたでしょうか。先に、up のキーワードをまとめておきましょう。

 

 

up のキーワード:上へ、完全に、近くに、逆らう

 

 

こんなもんですね。でも大事なのは、このキーワード、意味を覚えるよりも、基本のイメージから意味を推測していく力だと思います。いくら勉強しても知らない表現は出てきますし、すべて暗記するのは困難でしょう。忘れないために使い続けるのも難しいです。

 

 

それなら、基本イメージとなる、「上へ」というイメージから派生させて意味を推測する力を磨く方が大事でしょう。

 

 

 

up のように、常に調子が上向きで、上昇志向を持っていたいものですが、なかなかそういうわけにはいきませんよね。どんなに努力したって望む結果が得られないことはあります。結果が伴わない中で高いモチベーションを保つのは難しいです。そんなときに、「もう少し頑張ってみようかな」と思える話をします。

 

 

皆さんは、竹、という植物を知っていますか。はい、知ってますね。

 

では、竹がどのように成長するか知っていますか?意外と知らない人も多いのではないでしょうか。

 

竹は5年ほどかけて高さ20m ほどにまで成長します。発芽してからは、1日1m 以上伸びることもあります。とんでもないですね。

 

 

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ところが、発芽するまでには、非常に長い時間を要するのです。5年のうち、なんと4年もの時間が準備期間にあてられます。つまり、地面の下で地下茎を成長させるのです。そして、十分な養分を吸収できる力を手に入れてから、5年目での成長を始めるわけです。

 

 

生きてさえいれば、目に見える結果、成果が出なくてもいいのです。自分なりに考え、努力し、成長しようともがいてください。それは無駄になりません。

 

必ず糧になる時が来ます。

 

あなたの努力1つ1つが、植物の根っこのように、あなたを支えるでしょう。

 

 

そして、いつか、見せてやってください。我慢に我慢を重ねて得た成長を。

 

 

今回もお付き合いいただきありがとうございました!!!